Criacao Blog

サッカーの原理原則に基づき、世の中に感動を創造し続ける存在でありたい。

Criacao Leaders’ College 関東vol.3を開催しました!

11月3日にCriacao Leaders’ College[関東]vol.3を開催いたしました。

Criacao Leaders’ College(クリアソン・リーダーズ・カレッジ)とは、㈱Criacaoが主催する体育会系部活・サークルに属する幹部メンバーを対象としたセミナーです。一流のアスリートやビジネスマン・他団体の学生との交流を通じ、チーム運営やキャリア意識についての考えを深めていくことを目的とし、ここから日本を引っ張り、世界に羽ばたくリーダーを輩出していきたいと考えています。
7月14日のvol.1、9月15日のvol.2に引き続き、vol.3を開催しました。

 

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今回は東京大学一橋大学千葉大学早稲田大学

 

青山学院大学のサッカー部、ラクロス部、フットサルサークルのメンバーが参加してくれました。

各部活のシーズンも佳境に差し掛かっている時期の開催となりました。リーグ戦が終盤戦を迎えている部活もあれば、すでに4年生が引退し、次シーズンに向けたチーム作りに動き出している部活もありました。

それぞれのチームをどう率いていくのかということについて、近い境遇のメンバー同士で情報交換する場面があり、お互いの刺激になっていました。

 

 

第一部のゲストスピーカーにSOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL(本田圭佑のサッカースクール)でジェネラルマネジャーとして活躍する鈴木良介さんにお話頂きました。
鈴木さんの経歴は以下の通りです。

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鈴木良介氏
本田圭佑プロデュース、SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL ジェネラルマネジャー 
静岡学園高校から東京農業大学に進学し、プロの道を目指すものの、怪我により断念。以降サッカー指導者の道を志し、イングランドでFAライセンス取得。その後サッカースクールを経営という観点から成り立たせるため、一般企業の役員を務めるなど様々なビジネスの世界を経験。
現在はACミラン所属・本田圭佑氏のサッカースクール、SOLTILO FAMILIA SOCCER SCHOOL指導ディレクターとして子ども達にサッカーを通して夢を持つことの大切さを伝えている。本田圭佑氏のサッカーに対する考え方、人間性を誰よりも知り、それを子ども達に伝えていく活動をしている。現在はスクールの規模を全国に拡げており、全国で35校のスクールを開校。2018年には全国で300校の開校を目指す。

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鈴木さんには、「リーダーの資質とは〜チームマネジメントにおけるリーダーとは〜」というテーマで講演いただきました。

ソルティーロサッカースクールの理念は「サッカーを通じて夢を持つことの大切さを伝えていく」というものです。子供たちが夢を持てる人間になってほしいという本田圭佑選手の想いが込められています。多くの子供たちをスクール生として抱え、約60名の指導スタッフが所属する中で、指導の質を保つことに尽力をされてきました。そこで鈴木さんが培ったリーダーとしての在り方やマネジメントの考え方とは。

①リーダーに必要なパーソナリティ

「信念」

ソルティーロでは「夢を持つこと」を信念として、そこからブレずにスクール運営を通して子供たちに指導を行っています。

それぞれの部活でも、チームとしての伝統・スタイルに対する信念を持ち、どんな時でもブレずに進むことが大切になります。リーダーには、道を示し、確固たる決意で信念を貫くことが求められます。

「チームの最大化」

ソルティーロの関東と関西支部ではそれぞれ別のトップをおいているそうです。彼らの特性が違うことを理解し、それぞれが最高の力を出せるように配慮することに気をつけている、と鈴木さんは語ってくれました。

例えば、リーダーがメンバーの悪口を言っている時点でチームとしての限界を迎えます。一人ひとりの特性を理解し、どうやったら100%の力を出せる環境を作れるのか。それがリーダーの大切な役割になります。チームの能力を最大限に発揮させる、という意識が不可欠です。

「率先垂範」

ソルティーロサッカースクールの指導者採用面接で必ず聞く質問があるそうです。

それは、「ここに来るまでにきちんと横断歩道を渡り、信号無視せず来られましたか?」という質問。

これには、ソルティーロサッカースクールの指導者が子供に規範を示す事ができる存在であるようにという意図が込められています。ソルティーロでは子供の指導にあたる指導者こそが率先してルールや規律を守ることで、子供の指導にも責任を持てるようにということを徹底しています。横断歩道を渡り、信号も守ることが重要なのではなく、子供が規律を守り責任を持った行動をとれるように指導するために、指導者が率先垂範して子供たちに模範を示すことが大事であるというお話でした。

リーダーが周りに要求をする時、周りの部員が見るのは本人の行動が伴っているかという部分であったりします。そのとき率先垂範をすることがリーダーシップを発揮できることにつながっていくのではないでしょうか。

 

「学ぶ姿勢」

鈴木さんは、1年目のコーチの指導の姿を見て学ぶことがあるとおっしゃいます。誰に対しても謙虚な姿勢を持ち、リスペクトの気持ちを忘れず接すること、常に学びとろうとすることが大事だと言います。また、鈴木さんは全スタッフに対して指導実践講習を行う立場のため、逆にフィードバックをしてもらうことを心がけているそうです。

部活においても学年や役職に関係なくお互いから学ぶことは出来ます。部活において実力がある・役職についている人は、周りのメンバーからも謙虚に学ぶ姿勢を持ち続けるということを忘れないようにしたいものです。

 

鈴木さんは、リーダーとして大事なのは「人間性を磨くこと」であるとおっしゃいます。

中国の著書から引用した「常に物事を深く考える重厚な性格を持つ人格者であるべき」という言葉も紹介いただきました。どんなに実力やスキルがあっても人間性が欠けてしまえば、人を動かし、組織として成果を出すことは出来ません。

「信念」「チームの最大化」「率先垂範」「学ぶ姿勢」。ここに出てきたいくつかのキーワードを、自ら実践していくことで少しずつ人間性が磨かれていくのだと思います。常に自分を省みるキーワードとして心に留めておきたいものですね。

 

 

  • 自分よりも経験のあるメンバーのマネジメント

選手としての実績を重視するサッカー界において、「Jリーガー」を経験したか否かというのはとても大きな差となります。ソルティーロのスタッフにも元Jリーガーの指導スタッフが多く在籍しており、そんな中でJリーガーを経験していない鈴木さんが心がけているのが「指導知識と伝え方」、「ロジカルであること」。

サッカー選手としてのキャリアや実績で劣っていても、指導の仕方や伝え方では上回ることが出来る。そう考えた鈴木さんはヨーロッパの研修へ行くなどして指導方法を学ばれました。

また一つひとつのプレーが成功するロジックを噛み砕き子供たちに伝えるということも意識されているといいます。例えばどうやったらワンツーが成功するのか。その裏側には非常に奥深いロジックがあり、それを突き詰め、分かりやすく伝えるということで子供たちがひとつひとつのプレーをうまく出来るようになることにつながるということでした。

 

自分より実力のある選手にどう接するか、プレーできないマネージャーや学生コーチが選手に対してどう指導するか。部活でもそういった問題は常にあると思います。

「マネージャーの自分にしかできない強みをもっとみんなのサッカーの知識と同じくらいのレベルまで伸ばしていきたい」

「コーチの自分も選手としてキャリアが全くない中、ロジックの部分だけでは負けてはならないと思った」

といった声も聞かれました。

自分にしかできないこと、自分の強みとなることを増やす努力を続けること。その努力を続けることで経験を持つ部員にも説得力を持てる要因になるのだと思いました。

 

ビッグマウスとしてメディアに取り上げられることが多い本田選手ですが、鈴木さんが一番に伝えてくれたのは、周囲の人への気遣いを忘れない本田選手の人柄でした。

鈴木さんがソルティーロを立ち上げた当初、毎週必ず電話で連絡を取り続けてくれたそうです。本田選手が大きな怪我をしたとき、ロシアリーグで上手くいっていないときなど自身が苦しい境遇にあるときも欠かさず電話をくれ、節目では労いの手紙も送ってくれたそうです。

周りから信頼され日本代表でもリーダーとしてチームを引っ張れた要因として、自分が苦しい時でも周りの人々への気遣いを忘れない人柄があるということです。

 

また、本田選手のストイックさにも触れていただきました。本田選手は、スポーツ選手に必要なライフスタイルやトレーニングを徹底して継続しているそうです。

その原動力は、

「サッカー選手として輝ける時間は一生ではない。何かを勝ち得るためには、自分の欲求を捨てなければならない。だからこそサッカーにプラスになることをやり続ける」

という本田選手の言葉に凝縮されているといえそうです。

 

目標設定についての考え方についても話して頂きました。

成功している人のほとんどは、周りの人から無理だと思われるくらい高い目標を掲げている、と鈴木さんは言います。本田選手も「W杯優勝」「レアルマドリードで10番を付ける」といった高い目標を公言してきて、今の活躍ぶりがあります。

ソルティーロサッカースクールも300校の開設を目標としています。その目標を必ず実現させるという強い気持ちをスタッフ全員が持ち、目標の実現に向かって取り組んでいる背景には、本田選手の目標の高さとそれに向かう姿勢が強く影響しています。

高い目標を掲げること、そしてそれに見合う努力をすることが周囲を動かしチームとして成果を出すことにつながります。部活動において「チーム目標」を考えると、与えられたものであったり前年の踏襲であったりしますが、今一度その目標設定で本当にいいのか、もっと高みを目指すことはできないだろうかということを考えるきっかけにしてもらいたいと思います。

 

人間性を磨き続けること、自分らしいマネジメントを追求する事、目標設定とそれに向かう姿勢。この三要素が大切だと感じました。メンバー達にとっては、鈴木さんのキャリアや指導において意識していること、本田選手との関わりの中で得た高みを目指す姿勢は、部を率いる上で指針となっていくものなのではないでしょうか。自分らしいリーダー像を見つけていくためにも、今回のお話を自分のものにして、行動に変えていってほしいと思います。

 

 

第二部は弊社丸山より、「マネジメント」について講演いたしました。

それぞれの部活をマネジメントする立場にあるメンバー達に、マネジメントとはなにか、自分らしいマネジメントスタイルとはなにかということを、グループワークを交えながら考えてもらいました。

マネジメントという言葉を聞くと、「経営する」「管理する」ということ連想する人が多いと思います。しかし、経営学者のドラッガーによれば、マネジメントとは

「人と組織の強みや創造性を最大限に引き出して経済的・社会的に価値ある成果をあげること」

と定義されます。

加えて、「マネージャーとは役割・肩書きではなく、責任であるため、全ての人がマネージャーであるという意識が必要である」という言葉もあります。

部活に置き換えると、マネジメントは役職のある人間だけがするのではなく、チーム全員が成果に責任を持つ全メンバーが担うべき責任であり、それぞれがチームの成果に貢献する責任と自覚を持つことが大事になると考えることが出来ます。

グループワークでは「自身のマネジメントスタイルとは?」という質問に対して、自分なりの考えをまとめ、グループ内で発表しあってもらいました。

メンバーからは、それぞれ自分の「行動で示し、周りについてきてもらう」「誰よりも勉強する・知識を持つことで説得力を持つ」といったコメントも出てきていました。

それぞれが自分の強み・特長を理解した上で、まずは自分自身が最大の価値を発揮できるようなセルフマネジメントをしていくこと、そして組織のメンバーの価値観に寄り沿ったマネジメントをし、メンバー全員がマネージャーであるという自覚を持った組織を作っていくことに取り組んでいってもらいたいと考えています。

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講演終了後には、懇親会も行われました。

 

<参加者インタビュー>

青山学院大学サッカー部 後藤謙治さん

 

リーダーシップとはなにか、モヤモヤを拭いたい

就活をしっかりしたいという気持ちが大きくなっている時期ですが、まずはサッカーをちゃんとやりたいと考えました。来年は最上級生であり、また自分はGK、さらに主務という立場で、リーダーシップが求められると思います。しかし、自分の中でリーダーシップとは何か、モヤモヤしたものがあり、ハッキリとしませんでした。そこでリーダーシップとは何かを学ぶと同時に、他の大学の人の考えに触れたいと思い参加しました。

 

リーダーの資質についての話が印象に残った

印象に残ったのはリーダーの資質の話です。

その中でも信念を持つこと、全ての人から学ぶ姿勢を持つというのが記憶に残りました。自分に果たして信念があるのか、分け隔てなく意見を取り入れ、学ぶ姿勢でいるか。今まで出来ていなかったことを見透かされているようで、急に自分が恥ずかしくなりました。笑

今回、鈴木さんのお話を聞くことができなければ、モヤモヤしたままだったと思います。

 

来年は今までとは違う青学に

他大学の人の考えに触れ、意見を交換するたびに、いつも自分の思考力の無さ、考えの浅さに気づかされます。まずはここで学んだことを伝え、部で素直に実践してみたいと思いました。チーム全体が信念を持ち、共有することができるようになれば、来年度は今までとは違う青学になるのかなと思います。

 

千葉大学男子ラクロス部 筒井大揮さん

 

リーダーとしての在り方や組織のつくり方を学ぶため

僕は千葉大学男子ラクロス部に所属しているのですが、今シーズンが11月1日に終わりました。それとともに自分達の代がはじまりました。いままでは学年リーダー、戦術幹部という立場でチームに関わってきたのですが、リーダーとしての在り方や組織のつくり方などの十分な知識もなければ勉強することもほとんどありませんでした。

そこで今回、部活の先輩の紹介でこのセミナーの存在を知り、組織の中心人物としてやっていくための知識や覚悟、また他大学の組織運営の仕方などを学ぶために参加させていただきました。

 

部員のそれぞれに考えるきっかけを

鈴木さんのご講演を聞いていて、1番印象的であったのは、リーダーとして「チームの最大化」を実践すべきである、というお話です。

このことはとても自分達の例年までの組織に当てはまると感じました。組織を動かしている一部の人間の指示を聞き、それに従っているだけで、自分で考えて行動する人が出にくい環境であったなと実感しました。なので自分達のつくる組織では、部員のそれぞれに考えるきっかけを与えて、それぞれが最大限の力を発揮できるような環境をつくっていきたいと考えています。

 

部員の力が発揮しやすい環境づくりに活かしていきたい

今回のリーダーズカレッジでリーダーとしての在り方や部員との関わり方を学ぶことができました。

リーダーとして上から指示をしているだけでは部員の最大限の力を発揮することはできないことを知ることができたので、学びの姿勢も兼ね備え、意見を汲み取ることで、部員の力が発揮しやすい環境づくりに努めていきたいと思います。また、部員の隠れた前提である価値観を引き出すためにも、真面目な話だけでなく、くだらない話や雑談をしてコミュニケーションをはかっていき、組織づくりに活かしていきたいと考えています。

 

鈴木さん、ご参加いただいた学生のみなさんありがとうございました!

 

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